活動・事件紹介・弁護士コラム

民事手続きとは? 相手にお金を支払ってもらいたい場合を例にして

2012/03/31
青島 明生
法律相談は、社会生活で起きたトラブルを解決するために法律や法的手続きがどのように利用できるか、その結果がどうなるかを予測して、トラブルへの対処を考えることが主要なテーマになるでしょう。
 したがって、法律相談をする上で、法律の適用・法的手続きをとった場合にどのように進んで、どんな結果になるかを知っておくことが有益です。
 法的手続きは、事件の分野で大きく分けると、
  民事
  家事
  刑事
  行政
の分野に分けられますが、今回は、このうち、民事手続きを概観してみましょう。
 民事事件のわかりやすい例として、たとえば、お金を貸した、モノを売った、頼まれた仕事をしてあげたという原因で、人にお金を払ってもらいたい、という事例で見てみます。
回収のための手続
 人にお金の支払いを請求するには,通常次の「回収手段の種類」のいずれかの方法を,どれか,または,順次とることになります。
 それぞれの方法で,費用,確実さ,必要な時間が違いますので,事案に合わせて選択していくことになります。

回収手段の種類
① 内容証明郵便による請求(催告)
  口頭で何度請求しても払ってもらえない場合、「内容証明郵便」という郵便を相手方に送付して請求することが多いです。
  この郵便は、どんな内容の郵便をいつ相手方に配達したかについて記録が残る郵便です。
(メリット)
 一般の請求書より改まった様式なので,相手方にそれなりのインパクトを与えます。
 費用も,郵便料金として1〜2000円と低廉ですし,弁護士手数料も,通常の金額であれば,弁護士が名前を出す場合5万円+消費税,本人名の場合は3万円+消費税程度の作成料ですみます。
(限界)
 内容証明郵便といえども手紙に過ぎませんので,催告(請求するということ)の記録がしっかり残る方法で実施したという効力しか認められません。
 したがって,例えば消滅時効を阻止することが必要な場合には6か月以内に,次に述べる調停,支払督促,訴訟などの強力な手続をとらないと何の効力も残らないことになりますので注意が必要です。

② 調停の申し立て
(概要)
 簡易裁判所に申し立てる手続で,調停委員という話し合いを進める役割の人が相手方との間に入ってくれて,話し合いを成立させる方法です。
 調停室という10畳ほどの部屋に当事者が交互に入って2人の調停委員に実情を話して話し合いを進めます。控え室は別々なので成立または不成立となる最後の回までは相手方と顔を合わせることはありません。
(メリット)
 調停は,社会経験に富んだ、人格的に信頼のできる調停員が間に入って説得してくれますので,その分だけ合意が成立しやすい面があります。
 費用の点では、裁判所に納める手数料を申し立ての際に印紙で納めなければなりません。金額は請求額によって異なりますが,裁判の約半額です。弁護士の費用も手続が簡易なので訴訟より割安となります。
 双方に事情・言い分がある場合には,相手方の主張も明らかになり,整理できます。
 調停が成立すると調停調書という書類が作成されますが,この書類は確定判決と同じ効力を持つ,強制執行のできる強力な書類ですので,成立すれば,相手方に財産がある限り確実に回収できます。
(限界)
 調停はあくまで話し合いで,強制力はありません。話し合いが付かなければ次の裁判をするしかありません。

③ 裁判の提起
(概要)
 内容証明でも調停でも相手方が支払を認めない場合には,裁判を提起し,裁判所に証拠を提出して事実を裏付け,これを裁判所に認めてもらって,相手方に支払を命ずる判決を受け,判決をもとに強制執行を申し立てて相手方の財産を差し押さえ,回収することができます。
(メリット)
 相手方が争っていても,証拠さえあれば裁判所が事実と権利の有無・内容を確定してくれます。相手方はこれに従わざるを得なくなります。
(限界)
 しっかりとした証拠がないと,相手方の対応によっては真実にかかわらず敗訴となることもあります。
 また,相手方に財産がないか,財産のありかがわからないと,判決は絵に描いた餅,ただの紙切れの価値しかないことになります。

 次は、離婚、相続など家事手続きについてお話ししたいと思います。

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