活動・事件紹介・弁護士コラム

スウェーデンに社会保障制度調査に行ってきました。

2018/11/07
 日本弁護士会連合会(日弁連)は,毎年,全国各地で,「人権擁護大会」という大会を開催し,「人権問題に関する調査・研究,人権思想の高揚」に取り組んでいます。
 人権擁護大会は,日弁連のイベントとしては最大規模のイベントで,大会自体には,全国各地から数千人の弁護士が集まります。今年は61回目の大会で,10月5日に青森市で開催されました。
 
 
 この人権擁護大会の前日には,大会開催地にて,シンポジウムが開催されます。
 シンポジウムは,3つの分科会に分かれて開催されるのですが,今回,私は,第3分科会「日本の社会保障の崩壊と再生~若者に未来を~」というシンポジウムの実行委員会委員に選任されました。シンポジウムの詳細は,以下でご覧下さい。
 https://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/organization/event/jinken_taikai/gyoji_jinken2018.html
 
 そのシンポジウムの準備のために,6月10日から17日まで,スウェーデンに行って,スウェーデンの社会保障制度等を調査してきました。
 スウェーデンでの訪問調査先を全て挙げると,①労働組合の全国組織,②地方自治体連合(地方自治体の全国組織),③学校選挙本部(スウェーデンでは,学校で「模擬国政選挙」が行われていて,その選挙本部),④ストックホルム市の余暇活動センター(放課後等に若者が集まって余暇活動を営むための施設),⑤中央学習補助委員会(学生への生活費援助等を行う国家機関),⑥社会保険庁,⑦国会(国会議員),⑧スウェーデン滞在中の日本人研究者,学生,⑨ウプサラ新聞社(ストックホルム市近郊のウプサラ市という中規模自治体の新聞社),⑩ウプサラ市戦略・計画担当者,⑪ウプサラ市社会サービス局,⑫Heby市(ウプサラ近郊の小規模自治体)の民間幼稚園,⑬Heby市,⑭Heby市の民間企業(医薬品ネット販売業),⑮ウプサラ市「若者の家」(若者のための余暇活動施設)となります。
 

  
 これらの全てを平日の6月11日から6月15日までの間で訪問し調査する日程でしたので,観光をしている暇などほとんどなかったということがお分かりいただけるかと思います。。。
 せっかく「世界一美しい首都」などと言われているストックホルム市や風光明媚なウプサラ市に滞在していたにもかかわらず,行った観光名所と言えば,ストックホルム市役所(ノーベル賞の晩餐会を行うところ。朝早く起きて行きました。。。)とウプサラ大聖堂(ウプサラ市は,北欧最古の大学「ウプサラ大学」がある古くから栄えていたとても美しい街です。)くらいです。
 あとは,調査とホテルでの調査報告書の作成,遠く日本からやってくる仕事の連絡への対応等に追われていました。。。
 スウェーデンの話しをし出すと終わらなさそうなので,またの機会にでも。
 ウプサラ市を訪問したときに,冒頭で,市のプロモーションビデオを流されたのですが,そのPVがとても秀逸でウプサラ市の魅力がとてもよく分かるビデオですので,ご紹介しておきます。(ときどきこのビデオを見てスウェーデンを思い出しています。。。)
 https://www.youtube.com/watch?v=gYFZnVikqog
  
 海外調査まで行って,とても大変な準備を行い開催したシンポジウム。
 その努力は,実行委員みんなで総力を挙げて作成した約400頁に及ぶ基調報告書と人権擁護大会で圧倒的多数をもって採択された決議に結実しました。
(以下の基調報告書目次は、画像をクリックするとPDFファイルでご覧いただけます。)



  
 人権擁護大会で圧倒的多数をもって採択された決議はこちら。
 https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/civil_liberties/year/2018/2018_3.html
 
 今回のシンポジウム,決議,基調報告書は,社会的にもとても大きな意義を有していると思っています。
 社会的意義だけでなく,個人的にも,とても大きな意義を有していると感じています。
 今回の人権擁護大会シンポジウムの準備を通じ,スウェーデンでの調査を含め,普通は経験できないようなことをたくさん経験させていただくことができました。特にスウェーデンでの調査は,私の価値観を根底から揺さぶりました。そして,日本には,とても有能で熱意に溢れる弁護士が本当にたくさんいるということを知りましたし,そのような弁護士のみなさんと,力を合わせて,一つの大きな事業を成し遂げたというのは私にとってかけがえのない経験でした。
 このような経験は,私の視野を広げ,能力を高め,きっと,個別の事案に取り組む上でも役に立つと確信しています。
 今後も,研修の受講等のみならず,社会的活動を通じた自己研鑽にも積極的に取り組んでいきたいと思っています。

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