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富山市政務活動費訴訟について

2017/11/09
1 監査請求の経緯
  青島・春山が関わっている市民オンブズ富山では,富山市民である会員2名を請求人として,本年3月31日付で,5会派(自民,民政クラブ,公明,共産,社民)の平成27年度上半期の政務活動費支出について住民監査請求をし,本年5月30日付で監査結果が出ました。監査結果では,富山市長に対して,自民党に約101万円の返還を求めるべきとの勧告がされました。
  しかしながら,監査結果では,各会派には政務活動費支出についての裁量があることを前提に,各会派が監査委員に対して使途の必要性について多少の説明をした場合にはそれを理由ある支出として認めるという姿勢が顕著でした。例えば,コピー代について,政務活動でない議員活動や政党活動に使われている可能性も否定できないはずであるのに,会派から,政務活動にのみ使用している旨の回答があったことを根拠に,全額を適正な支出と認める,などです。
  しかるに,問題ないとされた支出が本当に市民のために使われているのかは,支出の有無や会派からの一応の説明だけでは判別できないはずです。例えば,自民党の会派事務員の人件費はその全額が政務活動費で支弁されていますが,報道によれば会派事務員は政務活動費の請求書の偽造に関与していたとのことであるところ,そのような違法行為の作業の人件費も,政務活動費で支出されているというのは,どう考えてもおかしいはずです。そして,富山市政務活動費条例8条では,政務活動費は,会派が行う調査研究,研修,広報…等市政の課題及び市民の意思を把握し,市政に反映させる活動その他住民福祉の増進を図るために必要な活動に要する経費に対して交付する,とされていることからして,この規定に合致する支出にしか政務活動費は支出できないはずです。
  このため,政務活動費が真に市民のために支出されていたのかを問うため,本年6月30日付で,住民訴訟を提起しました。
2 住民訴訟の方針及び訴訟の状況
  私たちの住民訴訟の方針は,まずは住民監査請求で棄却された支出を全て対象とするものの,各会派から,納得できる説明があった支出については取り下げていく,というものです。
  本年9月11日に第1回期日が開かれ,市の代理人と民政クラブの代理人が出席したものの,この日にはまだ実質的な反論はされませんでした。
  その後,本年10月25日に第2回期日が開かれ,市,民政クラブのほか,自民党の代理人,公明党の代理人も出席しました。そして,市からは,会派の政務活動費支出には問題がない旨の一般論が述べられました。がしかし,本来,一個一個の支出について問題があるかないかが問われるべきです。そして,特に富山市の制度は前渡しで政務活動費を会派に支給し,使わなかった分を返すというものですから,まずは会派の側で,返さない分は正しい支出に使った分であるということを証明しないといけないはずです。それなのに,一般論でもって,適正な支出だったと主張する市の態度は,はなから議員の側に立つ態度であって,市民の税を預かり議員の支出をチェックする者の態度とはいえないと思います。
  なお,注目されている事件であることもあってか,裁判所が,傍聴者向けに,かみくだいた説明をし,またできる限り手続を公開する訴訟運営をしようとしていることが印象的でした。また,市民オンブズ富山と全く関係のない傍聴者も複数おり,注目の大きさを感じました。
  次回は,本年12月27日午後1時30分です。それまでに,こちら側から,第一次的に,各支出についての問題点を指摘することになっています。

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