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「改憲反対!富山県集会」青島弁護士挨拶文ご紹介

2013/05/09
  先般開催されたメーデー、及び5.3香山リカ講演会において日本国憲法をまもる富山の会の代表として青島弁護士が挨拶した全文をご紹介します。
  是非皆様にお読み頂き、改憲阻止のために一緒に頑張りましょう!


(以下挨拶文全文)
ご挨拶
 「とめよう改憲 ! 富山県民集会」にお集まりの皆様,連休中の大変貴重な時間にかかわらず、足をお運びいただき、ありがとうございます。
  本集会の主催者団体を代表いたしまして、開会のご挨拶を申し上げます。


96条改正は国民投票重視?
 さて、現在の改憲の論点は憲法96条・改憲手続の規定だと言われています。
 最近のテレビ番組で、維新の会の橋本氏などは、96条の改正は憲法を変えやすくしてどんどん変えようと言われているが、全然違う、国民投票を重視しようということだ、と発言していました。橋本氏お得意の詭弁です。実際は、それこそ全然違う。


改正手続法での採択と成立要件
 まず、国民投票法では、有効投票の過半数で承認があったものとされています。抗議の白票などの無効票は除外し、残る有効投票数の過半数で決めるとされていて、ハードルが低くなっています。
 さらに、現段階では国民投票成立の有効要件が定められていないので、例えば、有権者の4分の1以上、25%以上の投票があれば国民投票は成立する、と決められれば、その有効投票の過半数、つまり、有権者の12.5%の賛成だけで改憲案が通ってしまいます。


さらに広告自由
 しかも、国民投票では、投票日の2週間前まではテレビ、ラジオ、新聞等で自由に、どれだけでも広告をすることができます。企業や団体も広告できることになっていますので、お金の力で一大キャンペーンを張って、国民の承認をかすめ取ることも可能となります。

やっぱりどんどん改正、国民の意思の尊重ではない
 国会さえとおれば、キャンペーンを張ってバンバン改憲できる、という仕組みになっています。
 本当に国民投票を重視する、つまり、国民の意思を重視する、と言うなら少なくとも、投票数の過半数ではなく有権者全体の過半数を超える賛成がなければ改憲してはならない、とか、投票の成立要件を、国民の3分の2が投票に行かなければ成立しない、という風にしなければならないはず。
 そうはしないで、現行制度で、国民の意思が尊重される、などとはとても言えません。簡単にどんどん改憲する仕組みを作りたいのです。


改正し直せばよい論は?
 改悪されたら、もう一度、改正しなおせばいいではないか、という理屈も現実的ではありません。経済力のない一般市民ではキャンペーンを張れないからです。

改憲の狙い・目的
 次に、改憲勢力の狙いです。96条の手続の問題だけ言い、何を変えたいか、変えたい内容を言っていないのはおかしい、と批判する人もいますが、これは誤りではないかと思います。自民党は改憲草案をホームページで掲載し、改憲の目的をあけすけに述べています。
主なポイントは
① 9条2項戦力不保持、交戦権否認の規定を削除して、「国防軍」を持つ。
② 国民に、新たな義務を課す、
  具体的には
 ア 国旗と国家に対する尊重義務。すると、法律で不敬罪を定めることも可能。天皇元首化も規定するので、戦前のように不敬罪を復活させて処罰できます。
 イ 領土・領海等の保全と資源の確保義務。すると、戦争への参加が強制。徴兵制にされます。
 ウ 家族相互の助け合い義務。すると、弱者の間で助け合いなさい、国を頼ってはいけない、と福祉が切り捨てられます。
 エ 憲法尊重義務。すると、国防軍に反対する運動をした団体は反憲法団体として、法律で規制されます。
③ 緊急事態には法律によらないで人権を制限できる、緊急政令というものを認めています。したがって、三権分立の原則は戦前レベルに後退です。
④ 犯すことのできない永久の権利とされた基本的人権は、法律の定める「公益と公の秩序」に反しない限りでしか尊重されなくなります。


97条削除
 これを端的に示しているのが、第九十七条の削除です。
 97条は、憲法が保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であり、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである、としています。
 この規定を、まるっと削除しようというのです。


要するに
 要するに、大日本帝国憲法に逆戻り。憲法を定めて個人を尊重し基本的人権を守ろうという、立憲主義の立場に立つ現行憲法を破壊すると言うことです。
 世界中の憲法で広められている、立憲主義、個人の尊厳・基本的人権の尊重、三権分立の原則を放棄しようというのです。
 悪い冗談ではありません。堂々とホームページに掲げ、パンフも頒布しています。
 このような改悪を、どんどん進めるために、96条を、まず変えようとしているのです。


さらに悪い、憲法の保障を奪う
 さらに悪いことは、96条改悪、憲法は法律と同じように変えられる、となると憲法の保障の意味がなくなる、つまり、基本的人権の保障自体がなくなることになることです。
 どういうことかというと、憲法で保障する、ということは、行政はもちろん、国民の代表である国会が定める法律ですら、憲法に違反すれば無効となる、ということ、すなわち、普通の多数決でも変えられないことが、憲法での保障の意味です。
 ところが、法律と同じ要件で発議できれば、多数決でどんどん憲法の保障を変えられる、なくせると言うことで、憲法の保障がなくなるという結果になるということです。別の言い方をすれば、憲法というものがなくなってしまうといってもいいと思います。
 基本的人権の保障自体も、平和主義も、議会制民主主義も、三権分立も、地方自治も、全部法律のように変えることができるという、大変な事態になってしまうのが、96条の改正です。


改憲目前
 私は、これまで、憲法の話をする時に、いつも、憲法は改悪の危機にさらされています,皆さん、憲法を守るために頑張りましょう,と話してきました。
 ただ、これまでは、改憲が目前に迫っている、という言い方はしませんでした。
 2008年の安倍内閣のとき、この年は,教育基本法改悪,防衛庁の省への昇格,教科書検定で集団自決が「軍の強制」であるという記述の削除,改憲手続法の強行的成立と本当に危機的情勢でしたが、改憲勢力は、国会内で改憲を発議するのに必要な3分の2を超える議席がなかったので、危機ではあっても改憲目前とは思いませんでした。
 しかし、今年は違います。
 次の参院選で改憲勢力が両院で3分の2を超える危険性があります。
ではどうするか
 これらを打ち破るには・・・改憲勢力は、参議院選挙で改憲を争点にしようとしています。受けて立つしかありません。
 皆さん職場で、地域で、家庭で、憲法について話し合いましょう。
 話の中身は、自民党の改憲草案を見て、現行憲法を知って、違いを考えましょう。 学習会をいたるところで開催しましょう。
 問題は、じゃ、いつやるか?
 きょう、まず、この集会があります。
 今後さらに、続ける必要があります。
 わたしども、主催者団体は、集会や学習会の開催、講師派遣活動に取り組んで改憲阻止のために全力を尽くす決意であることを、お誓い申し上げて、ご挨拶に代えさせていただきます。
 皆さん頑張りましょう。


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