生活保護基準引下げ違憲訴訟(いのちのとりで裁判)・富山地裁勝訴!
2024/02/05
国は、2013年8月から2015年4月までの間で3回に分けて、平均6.5%、最大10%生活扶助基準を引き下げました。
生活扶助基準というのは、生活保護費のうち、衣食等の日常生活の需要にあてる費用を算定するための基準で、まさに生活保護の「本丸」というべき基準です。
憲法25条1項は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定め、すべての国民に生存権を保障しています。この「健康で文化的な最低限度の生活」の水準を具体化したのが生活扶助基準です。この基準が引下げられると、この基準によって算定される具体的な生活扶助費も当然、減額となります。
1950年の生活保護法制定以来、生活扶助基準が引き下げられたのは、2003年度及び2004年度のたった2回だけ。その率もそれぞれ0.9%、0.2%です。まさに、今回の引下げは、生活保護法制定以来前例のない大幅引下げです。
この引下げに対し全国各地の1000名を超える生活保護利用者が立ち上がり、保護費減額処分の取消等を求める訴訟を29地裁で提起しました。この訴訟は、「いのちのとりで裁判」(生活保護基準引下げ違憲訴訟)と呼ばれています。
いのちのとりで裁判の全体像等は、以下のホームページで確認できます。
https://inochinotoride.org/
富山でも、2015年1月、3名の原告が立ち上がり、富山地裁に提訴しました。
私は、富山弁護団の事務局長を務めるほか、全国各地の中心的弁護士とともに、全国各地の訴訟で利用していただくための主張立証の準備、作成等を行っています。
特に、私は、「デフレ調整」と呼ばれる引下げの主要な根拠が、統計等の客観的数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性が全く認められないという点につき、経済統計学者等の専門家の協力を得ながら、全国各地の中心的弁護士とともに、約10年、主張立証の準備、作成等を行い続けています。
また、富山弁護団には、法的判断枠組み、司法審査の在り方等に関する主張立証につき、全国の中心的弁護士としてめざましく活躍している伊藤建弁護士がいます。
富山は、法的判断枠組みとデフレ調整という「いのちのとりで裁判」の「要」というべき主張立証について、それぞれの主張立証の中心となる弁護士がいるという意味で、いのちのとりで裁判の理論の中心地と言われることもあります。
そのような場所であることもあり、2023年11月25日、26日には、北は北海道、南は沖縄から、全国各地の「いのちのとりで裁判」弁護団の主要弁護士が30名弱、宇奈月温泉に結集し、弁護団合宿が開催されました。弁護団合宿では、参加した全ての弁護士が同じ宿に宿泊し、最先端の主張立証の共有、ブラッシュアップ等が行われ、また、弁護団の結束力を高めるため、懇親会等も盛大に行われました。
その直後、2023年11月30日には、伊藤建弁護士や私も審理に中心的に関わった名古屋訴訟において、名古屋高裁は、全国で初めて、国家賠償まで認める画期的な完全勝訴判決を言い渡しました。
そして、2024年1月24日、富山地裁は、約9年に及ぶ審理の末、原告勝訴の判決を言い渡しました。判決の内容も、当方の主張立証をしっかりと理解していただけた素晴らしい判決でした。今後の闘いに向け、心強い「仲間」を得たと感じています。法と良心と理性に従い、素晴らしい判決を書いてくれた富山地裁の裁判官には、改めて、敬意を表します。
これまで、富山地裁判決を含め、高裁、地裁で合わせて27件の判決が言い渡され、うち15件が勝訴となっています。2022年5月25日の熊本地裁勝訴判決までは1勝8敗と壊滅的な状況でしたが、熊本地裁勝訴判決以降でいえば、高裁判決を入れて14勝4敗となっており、劇的大逆転の状況となっています。熊本地裁勝訴判決以降、勝訴判決が積み重なり続けており、行政訴訟としては極めて異例の「負けない」状況となっています。
生活扶助基準が「健康で文化的な最低限度の生活」の水準といえるのかが問われた訴訟としては、朝日訴訟という著名な訴訟があります。朝日訴訟は、1967年に最高裁判決が言い渡されていますが、約60年経った今でも、語り継がれています。いのちのとりで裁判は、劇的大逆転の末、行政訴訟としては極めて異例の「負けない」状況になっていることからも、間違いなく、今後、50年、100年と語り継がれる歴史的な闘いになります。
マスコミにも、とても注目されています。多数報道していただけていますが、最近の主要な報道をご紹介します。
https://withnews.jp/article/f0221219001qq000000000000000W07w10101qq000025318A
https://www.knb.ne.jp/news/6296/?fbclid=IwAR0_oe5zszKxkmbA1ct37biGTvFTfJt-TLuH1hgfEsbThC0wSLx4IEmZ88I
https://www.knb.ne.jp/news/6277/?fbclid=IwAR20cA8fPFJXbxre25FC4tDw9ZtWVokWmwpDC83N7s21ASrbk4cgOhXaWrk
https://www.youtube.com/watch?v=nnKBUDJMh7c
また、2023年8月14日の富山地裁結審期日において、私が最終意見陳述を行った際の意見陳述要旨もご紹介します。司法の存在意義と生活保護制度に対する私の思いなどを述べました。ぜひ、ご覧ください。
意見陳述要旨(PDFファイルが開きます)
今後も、最高裁での勝訴を目指して、全国の原告・支援者・弁護士・世論という仲間、そして、積み重なった勝訴判決、特に富山地裁勝訴判決という仲間とともに、司法の存在意義そのものを背負って、闘い続けます。
今後も、ぜひ、いのちのとりで裁判にご注目・ご支援ください!
生活扶助基準というのは、生活保護費のうち、衣食等の日常生活の需要にあてる費用を算定するための基準で、まさに生活保護の「本丸」というべき基準です。
憲法25条1項は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定め、すべての国民に生存権を保障しています。この「健康で文化的な最低限度の生活」の水準を具体化したのが生活扶助基準です。この基準が引下げられると、この基準によって算定される具体的な生活扶助費も当然、減額となります。
1950年の生活保護法制定以来、生活扶助基準が引き下げられたのは、2003年度及び2004年度のたった2回だけ。その率もそれぞれ0.9%、0.2%です。まさに、今回の引下げは、生活保護法制定以来前例のない大幅引下げです。
この引下げに対し全国各地の1000名を超える生活保護利用者が立ち上がり、保護費減額処分の取消等を求める訴訟を29地裁で提起しました。この訴訟は、「いのちのとりで裁判」(生活保護基準引下げ違憲訴訟)と呼ばれています。
いのちのとりで裁判の全体像等は、以下のホームページで確認できます。
https://inochinotoride.org/
富山でも、2015年1月、3名の原告が立ち上がり、富山地裁に提訴しました。
私は、富山弁護団の事務局長を務めるほか、全国各地の中心的弁護士とともに、全国各地の訴訟で利用していただくための主張立証の準備、作成等を行っています。
特に、私は、「デフレ調整」と呼ばれる引下げの主要な根拠が、統計等の客観的数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性が全く認められないという点につき、経済統計学者等の専門家の協力を得ながら、全国各地の中心的弁護士とともに、約10年、主張立証の準備、作成等を行い続けています。
また、富山弁護団には、法的判断枠組み、司法審査の在り方等に関する主張立証につき、全国の中心的弁護士としてめざましく活躍している伊藤建弁護士がいます。
富山は、法的判断枠組みとデフレ調整という「いのちのとりで裁判」の「要」というべき主張立証について、それぞれの主張立証の中心となる弁護士がいるという意味で、いのちのとりで裁判の理論の中心地と言われることもあります。
そのような場所であることもあり、2023年11月25日、26日には、北は北海道、南は沖縄から、全国各地の「いのちのとりで裁判」弁護団の主要弁護士が30名弱、宇奈月温泉に結集し、弁護団合宿が開催されました。弁護団合宿では、参加した全ての弁護士が同じ宿に宿泊し、最先端の主張立証の共有、ブラッシュアップ等が行われ、また、弁護団の結束力を高めるため、懇親会等も盛大に行われました。
その直後、2023年11月30日には、伊藤建弁護士や私も審理に中心的に関わった名古屋訴訟において、名古屋高裁は、全国で初めて、国家賠償まで認める画期的な完全勝訴判決を言い渡しました。
そして、2024年1月24日、富山地裁は、約9年に及ぶ審理の末、原告勝訴の判決を言い渡しました。判決の内容も、当方の主張立証をしっかりと理解していただけた素晴らしい判決でした。今後の闘いに向け、心強い「仲間」を得たと感じています。法と良心と理性に従い、素晴らしい判決を書いてくれた富山地裁の裁判官には、改めて、敬意を表します。
これまで、富山地裁判決を含め、高裁、地裁で合わせて27件の判決が言い渡され、うち15件が勝訴となっています。2022年5月25日の熊本地裁勝訴判決までは1勝8敗と壊滅的な状況でしたが、熊本地裁勝訴判決以降でいえば、高裁判決を入れて14勝4敗となっており、劇的大逆転の状況となっています。熊本地裁勝訴判決以降、勝訴判決が積み重なり続けており、行政訴訟としては極めて異例の「負けない」状況となっています。
生活扶助基準が「健康で文化的な最低限度の生活」の水準といえるのかが問われた訴訟としては、朝日訴訟という著名な訴訟があります。朝日訴訟は、1967年に最高裁判決が言い渡されていますが、約60年経った今でも、語り継がれています。いのちのとりで裁判は、劇的大逆転の末、行政訴訟としては極めて異例の「負けない」状況になっていることからも、間違いなく、今後、50年、100年と語り継がれる歴史的な闘いになります。
マスコミにも、とても注目されています。多数報道していただけていますが、最近の主要な報道をご紹介します。
https://withnews.jp/article/f0221219001qq000000000000000W07w10101qq000025318A
https://www.knb.ne.jp/news/6296/?fbclid=IwAR0_oe5zszKxkmbA1ct37biGTvFTfJt-TLuH1hgfEsbThC0wSLx4IEmZ88I
https://www.knb.ne.jp/news/6277/?fbclid=IwAR20cA8fPFJXbxre25FC4tDw9ZtWVokWmwpDC83N7s21ASrbk4cgOhXaWrk
https://www.youtube.com/watch?v=nnKBUDJMh7c
また、2023年8月14日の富山地裁結審期日において、私が最終意見陳述を行った際の意見陳述要旨もご紹介します。司法の存在意義と生活保護制度に対する私の思いなどを述べました。ぜひ、ご覧ください。
意見陳述要旨(PDFファイルが開きます)
今後も、最高裁での勝訴を目指して、全国の原告・支援者・弁護士・世論という仲間、そして、積み重なった勝訴判決、特に富山地裁勝訴判決という仲間とともに、司法の存在意義そのものを背負って、闘い続けます。
今後も、ぜひ、いのちのとりで裁判にご注目・ご支援ください!